ポルチーニ茸の季節(イタリアでの例)
一般的には、ポルチーニ茸が出回るのは、サマーポルチーニ(aestivalis)が5~6月に始まり、最盛期である8月~10月が旬となるとされています。
詳細にポルチーニ茸の発生の季節を追いかけると、イタリア国内でポルチーニ茸が発生するのは1年のうち9ヶ月に及びます。
ポルチーニ茸は、雨と気温の微妙なバランスが最適となったタイミングで発生します。地域ごとの気候によって、次々と発生します。そのタイミングは地域によって異なります。
ポルチーニ茸の収穫のためには、適切な地表温度を知り、適切な降雨量を確認した後にターゲットの森林に行くことが必要です。最適条件が整った環境では、プロのポルチーニハンターは1日に40キロ~100キロものポルチーニ茸を収穫することがあります。プロのポルチーニハンターは①正しい樹種の森、②正しい森の標高、②必要な降雨量の雨が降った後のタイミングを見定めます。
まず、イタリアの気候帯を次の6つに分類して解説をスタートします。
アルプス地方 | 冬は寒く、夏は涼しい、大雨や雪が降る気候 |
ポー川流域平原 | 長い冬。夏は暑くて湿気が多いのが特徴。 |
ティレニア海沿岸 | 冬は穏やか、夏は暑い。特にリグーリアでは雨が多い。 |
アドリア海沿岸 | 夏は暑いが蒸し暑くはない。冬は寒い。冬と春に降雨量が多い。 |
アペニン山脈 | 冷涼な冬と涼しい夏。高い山では雪が降る。 |
南部と島 | 暑い夏が長く、冬は雨が少なく穏やか。 |
1月・2月・3月
気温が低いためにどの気候帯でも発生の可能性はありません。
4月
北部とアペニン山脈では降雨量は十分ですが、気温はまだ低いです。
まだポルチーニ茸の季節とはいえませんが、多少の発生の兆候がみられます。ティレニア海沿岸では、雨と気温が発生範囲に近づいているため、暖かい日が続くと山の低い部分にBoletus pinicula(これもポルチーニ茸の一種)が発生したり、丘にBoletus aestivalisが発生します。
5月
ポルチーニシーズンの再開です。気温と降雨量ともに、ティレニア海沿岸の丘陵、ポー川流域平原、アペニン山脈の丘陵では発生のタイミングとなっています。
6月
山岳地帯ではまだ温度が低すぎます。ポー川流域では、丘陵地帯で雨量が適度となり気温も発生範囲になってきます。
7月・8月
本格的なポルチーニシーズンとなります。
アルプス地方では雨量と気温が最適範囲となり、十分な発生が見られるようになります。7月は低地の丘では温度が高すぎるために、山の多少標高が高く涼しい場所に生えます。8月は、標高2,000メートルのモミの林でも発生します。
アペニン山脈では、気温、降水量ともに適度となっています。雷雨が降る場合があり、そのような気象状態の後にはポルチーニ茸が爆発的に発生する可能性があります。
南部と島地域では、降雨量が少なすぎ、また温度が高すぎるためにポルチーニ茸は発生しません。
9月
いよいよメインの月です。雨量と気温は発生に適したレンジに入りますが、地域によって大きく異なります。アルプス地域では高い山では気温が低すぎます。南部と島地域では気温がレンジ内に入りますが、雨量が少ない地区があるために一様に発生するわけではありません。
10月
アルプスの標高の高い地区は気温が低すぎます。イタリア中部では気温は良好で、雨量次第でポルチーニが発生します。
南部と島地域では、大部分の地域で発生がみられるようになります。
11月
ポルチーニ茸の発生状況は南北で逆の状況になります。つまり、北部では気温が低すぎて、発生がみられなくなります。イタリア中部の比較的低標高の場所に限られてきます。また、南部および島地域は、良好な発生が見られる唯一の地域となります。
12月
全国的に気温が低いために発生が見られなくなります。サルデーニャ島とシチリア島では、依然として発生が見られる場所があります。