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6. 旅の実践論

<レンタカーの利用方法と問題に対する対処法>

旅行の手段としては、長距離は飛行機を利用し、目的地に着いたときから電車やバス、タクシーを利用することになるが、運転に自信があればレンタカーで移動するのが最も便利に思われる。空港に到着したら、レンタカーを借りて荷物をトランクに放り込み、手回りの小さなバッグのみバックシートに持ち込んで、終着の飛行場で車を返せば大きい荷物も気にならなくて実に旅行がしやすい。

レンタカー(ここでは国際的なサービス網を持つレンタカーについて述べる)の借り出しと返却については、通常、国際空港に間違いなくいずれかのレンタカー会社のオフィスがあり、また、ほとんどの主要地方空港でも借りられる。その他、大都市の鉄道駅にもほぼ間違いなくレンタカー事務所はあるが、スペイン、モロッコ、トルコの地方駅ではちょっと難しいかも知れない。そのかわり、ダウンタウンにはどこかに事務所を置いてある場合が多い。レンタカーの会社としては、Hertz(ハーツ)、Avis (エイビス)、Budget(バジェット)、Europcar (ユ―ロップカー)などがあり、我々が日本からヨーロッパに入国するとき、または帰国するときの空港にはほとんどオフィスがあると言ってよい。

宿泊先のホテルから電話をして手配することも出来る。レンタカー事務所が見つけにくいときは、まずホテルに着いてレンタカーの手配をすればよい。ホテルまで車を届けてもらうことも可能だ。しかし、レンタカーの予約は日本を発つ前に、希望車種、初めに借りる場所(空港、駅、ダウンタウンなど)と日時を指定して借り上げた方が、現地で直接借りるより、事務処理もスムーズで料金もかなり割引されるのでこの方がいいだろう。

途中で計画が変更になったりする場合でも、世界的なネットワークを持つレンタカー会社ならどこの国のオフィスであっても予約変更が可能で、したがって返却地も自由に変えられる。この場合割引は適用にならず20%前後割高になる(レンタカー会社に確認のこと)。返却地の国が変わって、例えばフランスで返すつもりがデンマークになろうとどの国になろうと全く問題はないが、国が違った場合の乗り捨て料金と返送のための輸送費は別途とられるため、金額を調べてからにすべきである。同一国内だけの利用の場合、例えば、ローマで借りてナポリで返しても、基本的に乗り捨て料金や返送料金は請求されない。

国際ネットワークを持つレンタカーは、ヨーロッパ全土の中都市以上にはかならず事務所を持っており、車も比較的新しく、整備も良いので全く問題はないが、例えばモロッコとかトルコ、エジプト、シリアなどになると、レンタカーのオフィスの数も限られていたり、整備にも問題があったりするので借りる際にはチェックを念入りにすべきである。また、特にアラブの世界では、交通標識などに英語の記載がない場合が多いので、出来れば現地の車持ち込みガイドを同伴したほうが良いと思われる。人件費が安いのでガイドの宿代負担で雇い入れても安いものである。

車の借り上げ料金にしても10年前から20年前くらいの古い車が多くレンタル料金は気にするほどの金額にはならない。小生がチャーターした車で最悪だったのはインドのベナレス(ヴァラナシ)で用車して、お釈迦様の聖地ブッダガヤ経由でカルカッタまで旅行した時のものである。車に乗るときはひどい車だと思い、これでカルカッタまで走れるのかと前途を危ぶんだが、案の定行く先々でエンストをおこし、その度に同行者3人で押してエンジンをかけたりした。それにもまして驚いたのはよくよく車を点検したら車の床が腐食していて車内から走っている道路が見えたのである。それともう一つ加えれば急ハンドルを切れば助手席のドアが開いて危険極まりないことだった。同行者はとても驚いたが、しまいには驚きを通り越してこの事態を大いに楽しんで大笑いしながら旅を続けたのであった。ブッダガヤで車を取り替えようとしたが代わりも見つからず、諦めてカルカッタまでの旅をしたことがある。

モロッコやエジプトでは真夜中や早朝に、頭からすっぽりジェラバを着込んだ人たちが、突然道路を横断することは頻繁にある。このような傾向は、昔サラセンと呼ばれたイスラム教の国々やヒンドゥー文化圏のインドなどに顕著にみられる。インドでの経験であるが、主要国道でも夜中に人がぶらぶら歩いていてしかも人数が多く、その間を縫って走行するとなるとかなり危険である。このような国では旅行者は運転しないほうが賢明だろう。車はクラクションを鳴らし放しで徐行もしないで夜の人混みを走り抜ける。そんな感じなので車付きガイドをチャーターすることが一番である。

発展途上国の道路地図であるが、現地で入手しようとしても、簡単に手に入らないことが多いのでパリやミラノなどのような大都会であらかじめ準備して行った方が良いだろう。

さて、走り始めたが、旅の途中で車が不調で動きが取れなくなるということも起こるだろう。近くのレンタカーオフィスに電話をすれば車を引き取りに来てくれるが、時間がない場合は電話した後、車を置いてタクシーなどでオフィスに行ってキーを渡し、替わりの車を用意してもらえばよい。この場合タクシーの経費はレンタカー会社に全て負担してもらうのは当然で、彼らもスムーズに承認してくれる。

途中渋滞し、まともにレンタカー返却の手続きをしていたら飛行機の搭乗時間に間に合わなくなりそうな状態で空港に着いた場合、出発カウンターの係員に事情を伝えてキーを渡してレンタカー会社に車を返却してもらうことも緊急事態として十分に可能である。

旅行日の曜日をうまく把握しておらず、運悪く、返却しようとしたら土、日、祭日だったり、時間外で直接の返却が不可能な場合は、返却書類とキーを封筒に入れ事務所のポストに投函すれば良い。その際には、車のフロントガラス内側に貼り書をして、レンタカー事務所に一番近い、他の車の邪魔にならない場所に車を置いておく。あるいはそれが不安な場合は、その町に4つ星以上の信頼できるホテルがあれば、事情を説明した上でチップを渡してお願いすれば車の返却が出来るはずだ。ただし、良く相手を選ばないと心配が後に残ると思うので、このようなことの無いよう、きっちり計画を練るべきだ。小生は一人でドライブすることが多いので、いずれのケースも経験しているが全く問題はなかった。

レンタカーを返却する場合は、5キロメートル以内のガソリンスタンドでガソリンを満タンにして返却すること。ガソリンを満タンにしなかった場合、オフィスによってはガソリン量を実際よりも多量に補充したと請求されることもあるので要注意だ。料金の精算にはよく書類を見てサインすることも当然だ。もし言葉が通じないまま問題が生じたときは、帰国後速やかにレンタカー会社にクレームを出すこと。

国際免許証の有効期限は発行後1年限りなので確認することも肝要である。国際免許証の取得は所定の金額を添えて所轄の運転免許試験場に行けば1時間足らずで簡単に発行される。日本の免許証の翻訳版を発行してくれるだけなので、日本の免許があれば誰でも取得できる。

運転し始めは、イギリスは別にして、ヨーロッパでは日本とは反対の右側通行のハンドルなのでまごつくことも考えられる。しかし30分も走れば慣れてくるので、あまり神経質に考える必要はない。ただ気を抜いたときやカーブを曲がったときなどにふと日本式に左を走っていることもあるので注意する必要がある。

走り出す前に大まかな行き先の地理を頭に叩き込んで覚えておく必要がある。たとえば東京から神戸に走る場合、東名や名神高速で一本道だが、何箇所かでジャンクションがある。たとえば名古屋では伊勢方面に、関ヶ原を過ぎれば北陸方面に、大阪では堺や和歌山方面などへと道が分かれているので、自分の行き先の地名「神戸」を頭に入れておくべきだ。これは単純に見えるが、外国での地理不案内と不安の中では一番大切なことである。高速道路運転中のモタツキは大事故につながりかねないので、目的地に向かう途中の目安となる都市の名前とジャンクションについては繰り返し確かめて覚えておく必要がある。

市内に向かう場合、ヨーロッパのたいていの国では白いボードに「市・中心部」という表示があるのでそれにしたがう。イタリアでは“Centro Citta”、スペインでは“Centro Ciudad”など。標識は良く整備されているのでそれにしたがえば自然に市中心部にたどり着ける。また、例えばスペインではどの町にもたいてい旧市街中心部にPlaza Mayor(マヨール広場)やPlaza Espana(スペイン広場)があるのでその表示にしたがえば市中心部に出られる。万が一その標識を見落とした場合でも慌てないことが必要だ。一方通行が多いのでそのまま前に走ればまた次の次の角を曲がればよいので、バックやUターンすることはやめて徐行しながら走るといい。標識についてもEU諸国ではかなりきめ細かく、歴史的建物、産業ゾーン、ホテルなどが色分けされ表示されているのでわかりやすい。

宿泊する場合の駐車の問題である。星の多いホテルのガレージに駐車する場合は、たいてい駐車場はホテルの管理下にあるので問題はないが、やむを得ず道路駐車する場合は荷物を全て部屋に持ち込むことだ。なるべく近くの有料駐車場にパーキングすると盗難などの心配もなくてよい(有料駐車場には防犯カメラが設置されている場合が多い)。また、観光地などで車を降りて観光する場合には、たとえ日中であっても、また、たとえ周りに人が沢山いるので安全だと思っていても、外から見える車内部には絶対に身の回り品を残して車を降りないこと。日本と違い、車上ねらいはヨーロッパの国では驚くほど多い。ヨーロッパ人の中には、駐車をする際にはカーステレオをはずして手に持って車を降りる人もいるのである。

次に、交通事故や交通違反の場合であるが、これについてはレンタカー利用の際のガイドブックなどに詳しく載っているのでそれらを参考にしていただきたい。小生の今まで30年間にわたる外国でのドライブ経験のうちに、交通事故は1度も起こしたことがないので参考になる意見を述べられない。交通違反としては、数回駐車違反で引っかかったことがある。違反の紙が張られたのに時間がなくて警察に行かなかったこともあったが、その後レンタカー会社から連絡がくることもあるので、それに対処すればよい。事故や違反についての処置は国によっても違うはずである。いずれにしても借り上げの際に保険に入っておくことは必要だろう。


<ホテル事情>

本書で紹介する地域において宿探しをする場合は、特別の事情がある時か指定するホテルにこだわらないならば、予約無しで宿を見つけるのは、さほど問題にすることはない。特に地中海沿岸のリゾートなどの観光地では、夏の間の巨大な観光客を収容するための設備が充実している。小生の場合は日本を出て最初の日と旅の最終日のみを予約しておいてその間は宿の予約はしないことにしている。もっとも是非に泊まりたいと思うホテルがある場合は、途中で電話予約を入れるか日本から事前にFAXなどで予約するようにしている。

予約の方法には旅行社を通じて、あるいはFAXやTELなどで予約を入れるのが一般的だが、飛行機に搭乗する際にカウンターで依頼すれば航空会社が予約をしてくれて、到着地の通路出口の掲示板に何何様とメッセージがあって指示がある。この場合、大抵は4つ星以上の宿になると思えばよい。一般的にはターミナル駅や空港到着時に旅行案内所やホテルを紹介してくれる場所があって、そこで希望する地域や予算をいって探してもらうことだ。場合によってはその日のキャンセル待ちがデスカウントで売られていることもあり、得することもある。

言葉の問題を気にすることがないならば、前泊地のホテルなどで情報を集め電話をして探すのが良いようだ。予約をしてその次にそのホテルの場所を尋ねて行くことになるが、地図を持って探すのでなければ苦労することになる。特に車の場合は一方通行などで近くまで行っていても、その辺をグルグル回り、たどり着けない場合もあるので要注意だ。

レンタカーで旅することがいかに便利なものであるかについて触れてみたい。予約を全くしていない場合は気ままに旅程を組んで、その時の事情や明日の予定を考えながら、気に入ったホテルを見つけて直接交渉することが出来る。気に入らなければ何軒でも交渉してみても、荷物を持つわけでないのでたいして苦にはならない。予定したホテルの場所を探す訳ではないのと、旅程が自由なこと、そしてその時の状況に合わせて行動できるので時間に追われなくてもよいこと、などがあげられる。予定している場合でも現在地を確認してホテルに向かっていることを知らせておけば、仮に到着が大幅に遅れても準備をして待っていてくれることは間違いない。

ホテルの確保が難しい時期はある。まず冬場のスキー場、真夏の海岸リゾート、音楽祭や特別の祭りの期間中、そのようなときは混雑するので予約は必要だ。そのほかに日本の盆暮れにあたるイースター(復活祭)やクリスマスの頃から新年にかけては必ず予約することが必要である。4、5人の人数ならよいが、大勢の人数で1ヶ所のホテルに泊まらなければならないときも、予約は必要であろう。

ここで良い宿を見つけるためのコツをひとつ。日本人はホテルの受付でいったん空き部屋の有無を尋ね、もし部屋が有り予算にも見合っていたら、そのホテルに泊まらなければいけないと必然的に思うようだが、まず、部屋を見せてもらうことである。部屋を見て気に入らなければ他の部屋を見せてもらってもよいし、水道の具合が悪かったり、部屋の匂いが気になるなどの点がある場合は、いくつでも他の部屋を見せてもらうことである。気に入らなければ断って他のホテルを探してもいい。たいていいやな顔をせずにこちらの要求を聞いてくれる。眺めの良い部屋や道路に面した部屋、中庭に面した部屋、あるいはハイシーズン、オフシーズンなどで値段が違う場合が多いが、たいていは部屋の中にその部屋の値段を書いた紙が張られているので、何の心配もない。


<地図の利用の方法>

いろいろな地図があるが、小生はヨーロッパではミシュランの道路地図が便利で良いと思う。国全体の地図とか州別、県別など用途に合わせて利用するとよい。ミシュランの地図は、非常に良く出来ていて、道路を色分けしていて、高速道路や、大きな道路、地方道路などの距離感や状態がわかりやすい。景色のきれいな道路にはグリーンのラインが入っており、眺望の良い場所の表示もされている。大都市間の長距離を走る場合を除いて、小生の場合なるべく高速道路を使いたくないので、ミシュランの地図を見ながら小さな田舎道でグリーンの線が多く眺望のよさそうな道を選んで走ることにしている。

また、レンタカーを借りる際には、営業所でその国の地図をもらえるので手に入れることである。ほとんどの旅行者にとっては、レンタカー事務所でもらえる大きさの国別の地図で十分である。2度や3度程度の訪問では、あまり詳しすぎる地図では全体が見えなくなることもあるのと細かすぎる地図は目的地を探しにくいからである。

詳細にわたる地図は、一定地域を巡るときには非常に便利でありがたいが、ポイントポイントを飛び飛びに移動する旅行者の場合、そこまで詳しい地図はなくともよい。所要1時間以内の約100キロメートルの要所要所を把握すればこと足りる。また、町の中を走る場合は、たとえばマドリッドの何々通り何番地に行くには、地図を見ながら右に左に曲がっていけばよいことはわかるが、車の場合一方通行が多いので地図通りにはなかなか進めないことが多い。

それよりも、大まかな地図にしたがって、まず目星をつけた場所に行き、そのあたりで、どこかの店の人に聞くのが一番手っ取り早い。通行人の場合、知りもしないのに道を聞かれれば、知らないと言わないで、いい加減なことを教えてくれる人がいるので、できたら2人以上に尋ねてみるとよい。言葉が出来なければ、地図または住所を見せて指させば、彼らは感が良いから、指さして教えてくれる。また親切な人の場合、案内してくれることだってある。

地図を見ながら走行しているうちに、仮に乗り換えするジャンクションで行き過ぎたりすることがあっても慌てないことだ。どこかでUターンする必要があるが、大まかな方向が一緒であれば、走る先の方で側道に出てラウンダバウトで自分の行きたい方向をとって、もう一度高速に乗り直せばよいので、あまり神経質にならないことだ。

ドライブの楽しみは意外な風景に出会うことや、古くからの住民の暮らし振りなどに接することにある。フリーウェイなどの高速道路はどの国を走っても似たような感じなので、時間内に距離を稼ぎたい場合を除けば、できるだけ国道より県道、県道より町道という風に小さい道路のほうがより楽しみがある。バイパスや有料道路は自動車が普及してから作られたものばかりなので、ドライブ風景としては歴史や生活のにおいが無く、味気のないものだからである。


<言葉の問題について>

旅をすれば、その国の言葉がわからないと不安で不便であることは間違いない。特に日本人は外国語に弱い。大学の英文科を出て英語の成績が良かった人でも、会話をするとなると、ほとんどの人がてこずるのである。これは、日本人はA型的完ぺき主義から、まず文法を組み立ててきちんと話そうと思うからである。肝心なことはYesとNoをはっきりさせることと、自分の言いたい、伝えたい欲求を最初に相手に伝えようとすることである。文法などは日常会話では意識しないことだ。英語圏の人間でないものがきれいな、完璧な会話をしょうと思っても、特別な人でない限り無理であって、少しも恥じることはない。

もちろんビジネスの交渉事では高度な語学力が必要になってくる。しかし旅行者の話す言葉などたかが知れている。せいぜい中学校で習った単語を知っていれば問題ないはずなのだ。しかしながら、伝えることが出来ないし、聞き取れないなど問題が出てくることはある。恥ずかしがらないで、自分の知っている単語を片端から駆使すれば、大方は解決できるだろう。

会話はそのときどきの状況によって次から次へ進むので、未熟な語学力ではなかなかスムーズにいかないが、最初に単語を並べるだけでも、なんとか会話らしきものに近づいていくのである。それでも会話についていけないようなら、日本語を使い、相手の目を見ながら堂々と自分の言いたいことを言うことである。そうすると通じる場合が多い。時々観光地で英語が話せなくても、堂々と日本語で自分の欲しい物をしかもちゃんと値引きしながら買っているおばさんたちを見ていると、何とかなるものなのだと思うことがある。

我々の年代では今述べたようなことが気になるが、最近の若い人達は学校の英語教育もだんだん変化してきているせいか、だいぶ会話ができるようで頼もしく思える。言葉に関しては、たとえばアメリカに生まれ育ったなら、どんな人でも英語は話せるのだから、外国人である我々の英語ができなくても恥じることはない。しかし、より内容のある旅をしたいと思うなら、少なくとも外国語のひとつぐらい覚えておいた方が良いとは言える。またトラブルが発生したときのことを考えるなら、言葉は出来るにこしたことはない。

最近ではあの誇り高いフランス人も経済効果を得るためには仕方がないと見えて、外国人の観光客に対して英語を話すようになった。以前であれば、フランス人は自分達の言葉こそ上等なものであると言いたげに、英語が出来てもしゃべったりはしなかったのである。彼らは英語に対して偏見と蔑視の気持ちを持っていたに違いない。しかしながら今では英語で用が足せるようになってきた。ある程度の英語さえできれば何とかなるのである。どの国に行っても、ホテルやレンタカーオフィス、レストランなどでは英語が通じる。それでも地方都市に行けば、まだまだ自分の国の言葉以外通じないケースも多いので、それなりの準備も必要である。

ヨーロッパを車で走る場合、英語の他にフランス語、スペイン語、イタリア語、そしてポルトガル語などラテン語を起源とする言葉のひとつでも知っていれば、かなり楽になること間違いない。これらの言葉は国を越えてなにかと共通点があり、例えばイタリア語で話をしても、スペインやポルトガルではそれなりに判ってもらえる場合が多い。フランスとの場合は発音の面で大きく違っても、彼らは比較的判ってくれるし、文字で読むときにはなおさら理解し易い。したがって、これらの国を良く訪れる小生などは、英語が通じないときは、すべてこの4ヶ国の知っている言葉を、どの国にいるかを意識することなく通じるまで、混ぜあわせて使用するとたいてい理解してもらえる。ただし、これは道を聞いたり、ホテルやレストランなどでの簡単な会話の場合である。先日新聞を読んでいたら、EU関連の機関で働く人の間で、英語を基盤としながらも、これらのラテン語起源の言語を混ぜあわせた、EU語なるものを使う人がでてきているという記事があった。異なった母国語を持つ様々な人が働くEU機関ならではであろう。

アラブなどイスラムの言語に堪能な人は少ないであろう。アラブ語、ペルシャ語を知っていればよいのだが特別な事情が無ければそこまでの必要はないであろう。これらの国ではフランス語や英語が通じる。

何度か旅行を繰り返すうちに、言葉の必要性も身に沁みるだろうし、言葉に対し興味も湧いてくるだろう。より楽しみながら旅行をするためにも、旅行先の人の生活などをより深く理解しするためにも、言葉を学びたいと思い始めるだろう。英語に加えてもうひとつの言語ができれば鬼に金棒である。ちなみにこの旅行記を書いている著者は、英語はまだしもフランス語やスペイン語などは全く出来ない、慣れとカンと度胸で旅をしている。

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